【最新情報編】2025年版 タイ税制のトレンドと改正ポイント
2025年08月16日
現時点(2025年8月)で、タイの電子インボイス(e-Tax Invoice)/ e-Receipt は
「全面義務化は未実施」です。政府はRTIR(リアルタイム報告)型の
e-Tax Invoice & e-Receipt システムを提供し、ETDA(電子取引開発機構)経由の
「e-Tax by Email」も利用可能ですが、導入は原則任意のまま。
ただし、導入促進のための優遇(投資額の追加損金算入や
e-Withholding利用時の源泉税1%軽減など)が2025年末まで延長されています。
▶︎ 示唆:義務化が告示されてから本番稼働までの猶予は短期化する傾向。
監査対応・ERP連携・タイムスタンプ/署名運用・10年保管ポリシーを
今のうちに整備し、優遇が効いている2025年内に移行コストを圧縮するのが実務的です。
日タイ租税条約(1990年、MLI適用)は、支払源泉地での課税上限を規定します。
主な規定(日本⇄タイ間の支払に関する上限)と、タイ国内法の標準源泉率を並記します。
実務は「国内法と条約の有利選択」かつ受益者主義・フォーム提出前提で判断してください。
さらに、日本側は外税控除や、一定のタイ投資優遇に対する
みなし外国税額控除(上限25%)の特例が条約に規定されています
(適用期間・条件あり)。
▶︎ 実務Tip:条約軽減の適用には、受益者要件と所定フォーム提出(日本側は「租税条約に関する届出書」等、タイ側は証明類)が必要。
書類不備時は国内法の源泉率で控除され、後日の還付申請が必要になります。
2021年9月以降、非居住の電子サービス事業者/プラットフォームで
タイの非VAT登録顧客向け売上が年1.8百万THBを超える場合、
タイで簡易登録・申告・納付(仕入税額控除なし)が必要です。
2024年1月1日から、電子プラットフォーム事業者は出店事業者の売上データを
収集・年次報告する義務が導入(一定規模以上に適用、監督当局の所管除外もあり)。
これは所得捕捉・適正課税に向けた重要な情報レポーティングです。
ETDA所管のDPS法(2023年8月施行)は、国内外のプラットフォームに事前届出・
透明性確保・年次レポート等を義務付け、
2025年7月には高リスク市場向けの追加義務に関する指針も明確化。
税務そのものではないものの、税務レポーティングと密接に連動します。
▶︎ 示唆:マーケットプレイス運営・跨境SaaS・アプリ配信は、
VAT(SVE)適格判定・インボイス発行要件・売上情報報告の三点を
ガバナンスに組み込み、契約条項(税務表明保証/総額条項)と
データ保持(売上・手数料・出店者情報)の整合を取ることが肝要です。
タイの標準VATは法定10%ですが、7%(地方税込)への暫定引下げが
2024年9月の政令(Royal Decree No. 790)で2025年9月30日まで延長済み。
通例どおりなら、2025年10月1日以降は10%へ復帰する枠組みで、
再延長の有無は直前に判断されるのが通例です。現時点で確定しているのは
「9月30日まで7%」のみであり、以降は政策判断待ちです。
タイ税務の「次」を読む
:電子インボイス義務化・日タイ租税条約・プラットフォーム課税・VAT率の行方電子インボイス・e-Receipt義務化の最新動向
租税条約(日タイ間)の活用と源泉税率の確認
支払区分
条約上限(タイ⇨日本 居住者へ)
タイ国内法の標準源泉
実務ポイント
配当
受益者が6か月以上25%以上保有の会社:
・工業事業会社配当:15%
・その他:20%
(それ以外の持株要件では条約上限の明確な軽減なし)
一律10%(タイ国内法)
国内法10%が条約上限(15/20%)より低いため、通常は10%適用が有利。
利子
・銀行/保険等の金融機関宛:10%
・その他:25%
原則15%(対象により異動あり)
支払先が金融機関なら条約で10%へ軽減可(受益者証明・条約届出が前提)。
ロイヤルティ
上限15%(著作権・工業所有権等を包含)
原則15%
多くのケースで15%据置。PE帰属なら事業利益課税へ。
デジタル経済に対応した新しい課税ルール(プラットフォーム課税など)
① 海外デジタルサービスへのVAT(SVE)
② 電子プラットフォームの「売上データ報告」義務
③ DPS法(Digital Platform Services Law)による規制面の整備
将来的に検討されているVAT率引き上げの可能性
「今後の変化を先読みしたい経営者・投資家」向けアクションチェックリスト
